44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで⑲

こんにちは。『44歳からの留学 -67歳現役米国公認管理栄養士、20年の奮闘記』(Book Trip)の著者のYufiこと堀尾シェルド裕子です。私の体験が、これから留学を考 えている人、米国で管理栄養士になることに興味のある人に役立てることを願っています。また物見遊山でこのサイトをみた方、野次馬も歓迎です。コメントもよろしくお願いします。

 

一学期が終わって初めての成績をもらいます。

 

著書より前回の続きです。

 

始めての成績

 

  初めての春学期の期末試験がやっと終わり、いよいよ成績だ。気になるのは「基礎化学」だった。小テストはまあまあだったが、期末試験では解らない問題が結構あった。結果は、C+だった。ちなみに、成績は12段階評価でAからFまでだ(A, A-, B+, B, B-, C+, C, C-, D+, D, D-, F)。私の他の成績は、ESLがB+, 「化学のラボ」がB+、「食と人々」がB-、「栄養学」がBだった。満足ではなかったが、ともかくほっとした。やっと軌道に乗ったような気がした。

  ESLに関して言うと、私は、留学生用オリエンテーション時に行われた英語のテストにパスしていたので、取らなくてもいい課目だったことに後から気づいた。宿題に随分時間をとられた。無駄だったとは言えないが、あの時間を他の科目に当てられたら違う結果だったかもしれないと思い、悔んだ。

 

学生用アパートを出る

 

   居住の件で学期の最後に困難が起こる。ドミトリーと同様、学期終了後にそこを出なければならないと言う。次の学期にそこに戻ることはできるが、休み中は、一旦荷物を全てもって、そこを出なければならないと言う。休み中の賃貸はしていない。そのことをその時になるまで知らなかった。予想外のことだったので、それには本当に困った。親のいるアメリカ人は親元に帰れるからいいのだろう。でも留学生はどうしているのだろう。

 タエちゃんに電話した。すると彼女は、急遽帰国を決めたと言う。もうその理由は忘れたが、ともかく彼女の住んでいる屋根裏部屋が空くから、そこに入るのはどうかという話になった。月450ドルで、学生用アパートとほぼ同じだった。彼女が話をつけてくれて、私はそこに移ることになった。ユダヤ人の70代くらいの老夫婦の家だった。借りた部屋は、屋根裏部屋とはいっても、夏が異常に暑いことを除いては、三階建ての三階のような感じだった。トイレは部屋に付いていたが、キッチンとバスルームは共有した。また、場所も大学まで、住宅街を歩いて10分位の距離なので便利だった。これで、もう追い出されることもないし、学生用アパートよりももっと独立できるので、うれしかった。

 

バウアー先生に合う

 

  学期が終了して、始めてアカデミックアドバイザーのバウアー先生に合った。オフィスはキャロルの所とは違い、私は、クラス登録の際に、間違ったオフィスを訪ねていたことに気づいた。バウアー先生は、私の重要書類のファイルと、キャロルが作成してくれた二年間のカリキュラムを見て、「デグリー」は取りたくないのかと聞く。私にはその意味が解らなかったので、キョトンとしていると、先生は再度聞いてくる。私はやむなく、分からないままに、Yes と言うと、先生は待ってましたとばかりに、日本の大学でとった教養科目の50単位が認められるので、あと3科目取れば、「デグリー」が取れると言う。それでやっと分った。先生の言う「デグリー」とは、学士号 (Bachelor degree) の学位のことだった。そして先生はササッと3科目を列挙し、私のカリキュラムに振り分けた。

  それにしても、私はあらためて驚いた。私は編入で入ったつもりだったので、キャロルの編成したカリキュラムを完了すれば、当然モントクレア州立大学卒業となるものと思っていたからだ。だが実際は、キャロルの編成したカリキュラムは、米国公認管理栄養士(Registered Dietitian)になるためのインターンシップに入るために必要な科目のみでうめられたものだった。つまり、それらの必須科目を全て修了すれば、インターンシップに入る資格ができるだけだ。これだけ苦勞して、ここまで来て、挙句の果てに、学位を持った卒業とはならないのは、あまりにも無念だ。第一、インターンシップに入る資格ができても、実際、インターンシップに入れる保証も米国公認管理栄養士になれる保証もない。後から触れるが、競争率が高いのだ。バウアー先生が、「デグリー」という側面も考えてくれたことに感謝したい。

  さて、学位を持った卒業につながることには感謝したが、3科目増えることには閉口した。キャロルの編成した二年間のカリキュラムでさえ、各学期に4・5科目づつ履修しなければならず、それで手一杯なのに、あと3科目も増えたら一体どうなるのだろう。二年間ではやり切れないかもしれない。資金の問題もある。ただ今は考えられない。やっと初めての学期が終ったばかりで、まだ全体像がつかめない。すぐに控えているサマーセッション(夏期学期)の登録を急がなければならない。

(続く)