44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで㉕

こんにちは。『44歳からの留学 -67歳現役米国公認管理栄養士、20年の奮闘記』(Book Trip)の著者のYufiこと堀尾シェルド裕子です。私の体験が、これから留学を考 えている人、米国で管理栄養士になることに興味のある人に役立てることを願っています。また物見遊山でこのサイトをみた方、野次馬も歓迎です。コメントもよろしくお願いします。

 

アメリカの大学で取りざたされるGPA(成績評価値)、大学卒業率についても語ります。

 

著書より前回の続きです。

 

もう一つの苦労した科目

 

 前述したように、「生活課程における個人と家族の発展」はこの学期で苦労したもう一つの科目だった。この科目は、例の「デグリー」(学位)を取るために増やされた3科目の内の一つだったのだ。学位を取るために必要であるといっても、インターンシップに入るための必修科目ではないので、関心も薄い。教科書があるのはいいが、分厚くて重い。私は他の4教科にアップアップしていたので、その本を読む時間の余裕もなかった。

 ともかく毎回出席だけはした。出席も成績に加味されるので。一度、クラスで、ロールプレイングをチームでしなければならないことがあった。家族の色々な状況が設定され、チームで、一人ひとりが家族の一員の役割を受け持ち、寸劇を演じなければならない。英語もまともにしゃべれないのに演技などどうしてできるだろうか。私だけが呆れられるのは仕方がないとしても、チームの皆にも迷惑をかけてしまう。私は窮状に陥った。他のチームはパンチラインなどを入れて、聴衆を笑わせたりなどしている。この時私は母親の役割を演じることになった。清水の滝を飛び降りるような気持で臨んだ。チームの他のメンバーも、私の部分には目をつぶって、単位のためにやっていると割り切っていたことだろうとは思う。思い出すだけで、冷や汗が出る。死んでも二度とやりたくない。このことが、年齢を戻すからもう一度やり直せと言われても、もうその勇気はないという理由の一つだ。

 教科書は、各章の要約を読むので手一杯だった。テストができないことは、目に見えていたので、プロジェクトの小論文だけは頑張った。チュトリアル センターのアルは、英語の添削のみならず、内容的なアドバイスもしてくれた。小論文はよい評価だった。

 最後の授業の時に、先生が、テストはできても、論文がダメな人もいれば、テストはできなくても、論文が良い人もいると言ったので、後者は私のことだすぐに分かった。成績は「C+」だった。それは、私の精一杯やった成果だった。

 

GPA/Grade Point Average(成績評価値)

 

 GPAとは全体の成績を数字で表したものだ。先ずAからFまでの成績が数字に換算される(A=4.0, A-=3.7, B+=3.3, B=3.0, B-=2.7, C+=2.3, C=2.0, C-=1.7, D+=1.3, D=1.0, D-=0.7, F=0.0)。それにそれぞれの科目の単位数を掛けて足した合計を総単位数で割ったものだ。つまり、その時点での平均成績といったもので、全てを終了した後に得たGPAが最終的な総合成績ということになる。例えば、 最後のGPAが4.0であるなら、その人はオール「A」を取って来たということであり、もし3.0なら、平均「B]だったということになる。

 ちなみに、私の右も左もわからなかった一番初めの学期(1998 spring)のGPAは2.944。そして、その夏のサマーセッションで3科目オールAを取ったので、蓄積されたGPAは、3.324に上がった。そして、紆余曲折を経てたどり着いた1999年の秋の学期(1999 fall)の時点では、蓄積されたGPAは3.157だった。

 実は、その時点でも、RDになるためのインターンシップに入るためには、必須科目のGPAが3.0以上なければならないことを私は気づいていなかった。ただ何となく3以下にだけはなりたくないとだけ思っていた。だから、今考えると、3以下になる可能性もあったので、冷や汗ものだ。そのほかに、GPA は修士課程に進む時も一定以上が要求される。通常は3.0かそれ以上だ。

 

大学卒業率

 

 この際なので、アメリカの大学卒業率についても少し触れておきたい。アメリカの四年制大学進学率は70%と言われるが、ある統計によれば、その卒業率は公立33.3%、私立52.8%だ。大学の一年目で、30%がドロップアウトするという。それは、その後の収入にも影響する。ドロップアウトしたということは、当然ながら、学位を取っていないわけだから、高卒の資格ということになる。そして、その差は、2014年の統計では、四年制大学卒と比べると、平均35%または年間21,000ドル低いという。日本のように、大学のブランド名が優先して、中退でもまだそのブランド名が幅を利かせることはない。仮にハーバード大学に入学したとしても、卒業していなければ意味がない。終了する能力がなかったということだ。ハーバード大学中退というステータスはない。

 アメリカは資格社会と言われる。例外はあると思うが、実力があっても、資格を示せなければなにもならない。入った大学で、GPAを平均(3.0)以上に保ち、卒業して学位を取ることが、アメリカの価値につながる。

(続く)