44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで①

自己紹介から

私は、Yufiこと堀尾シェルド裕子と申します。昨年末、『44歳からの留学 -67歳現役米国公認管理栄養士、20年の奮闘記』(Book Trip)を出版しました。本の題名からもわかる通り、中年からの米国留学です。それはもう、悪戦苦闘しました。筆舌に尽くしがたいほど(ちょっとオーバーか?いや本当)。でも、今は管理栄養士として平穏に働いています。8年前から働いている現在の職場は、ニューヨーク州立の退役軍人老人ホームです。後2年程働く予定です。

私はこの体験を皆さまにシェアして、中年からでも留学に興味のある方や、アメリカで管理栄養士として働いてみたい方に、少しでもお役に立てればいいなと思っています。また、私の体験の野次馬見物も歓迎です。

それでは、本の前書きから。

「40歳を過ぎたある時まで、私は留学などというの事は、考えてみたこともなかった。留学などという事は、所詮他人事、せいぜい裕福な家庭の子女に許されたことで、私には全く無縁だった、また、留学が英語・外国語の習得以外に何の意味があるかなども想像すらしなかった。それに、英語が並み以上にできたわけでもない。その私が、降りかかった災難の逃げ道として米国留学を決意し、果たし、そしてその関連の専門職に就いた。これはもう火事場の馬鹿力と言うしかない。実は小学校の先生は私を、「がむしゃら」と名付けていたのだが。

  アメリカは、なんだかんだ言ってもすごい。40歳を過ぎた私を留学生として受け入れてくれた。50歳になった外国人の私を、専門職のポストに受け入れてくれた(ただし、アメリカでは年齢差別は禁じられているので、生年月日を記入したり、年齢を聞かれたりすることはない)。私は、今外国暮らしで、それゆえに、日本の素晴らしい面に一層目が行くのだがを、このことに関しては、とくに、アメリカの包容力、公平さに畏敬の念を持たずにはいられない。

 私が、この本を書こうとした動機は、昨今の益々高まる留学ブームと高齢化社会だ。留学が奨励されて、文部科学省が留学キャンペーンをしたり、留学を必修化したりする大学も出てきている。 また、寿命も年々伸び、高齢者も増加し、人生の活動期間も伸びた。人生の多様な選択も以前にも増して、謳歌されている。もしかしたら、私の体験が誰かの選択のヒントになるのではないか、伝えておくべきなのではないかと思った。私の留学の道は決して平たんなものではなかった。辛く苦しいことの方が多かった。年齢を戻すからもう一度やり直せと言われても、もうその勇気はない。でも、見返りとして、専門職として誇りをもって働く今がある。私の体験が、良きにつけ、悪しきにつけ、何かの参考になればと思う。

 本書では、個人の名称を変更している場合があります。また、「米国公認管理栄養士」のことを、話の流れによって、「ダイエティシャン」または「RD」(Registered Dietitian の略、現在はNutritionist が末尾に加わりRDN ともいう)と表現していることがありますので、ご了承下さい。」