44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで ー 余談⑤コロナ感染

ここ最近二つの特筆すべきことが起った。

ひとつは、私がコロナウィルスについに感染したことだ。症状もしっかり伴って。私の勤める退役軍人老人ホームでは、この二年近く毎週のようにCPR テストを職員全員に実施してきた。周りが次々と感染する中で、私は一度も陽性にはならず、心ひそかに、私の免疫力の高さを誇っていたのだ。今回のそれは多分オミクロン株だとおもうのだが、それには勝てなかった。というか、かかって、直って、免疫力がつくという、集団免疫の一端を担ったというわけだ。

それは一月の初旬のことだった。喉に小さなごみが張り付いたような感じで、それを取り除こうと、軽く咳払いをしていた。いつものように喉がイガイガするのなら、梅干しペーストをなめて、すぐになおしてしまうのだが、今回はそうはっきりした症状でもないので、その救急処置を忘れてしまった。すると翌日には、れっきとした風邪の症状になっていた。職場で、CPR テスト(15分で結果が出るラピッド抗原テスト)を受けると、陽性を宣告され、即自宅待機となった。自宅待機は、初回の感染であれば、有給で最長十日間だ(但し無症状で、陰性となれば五日間だけ)。以前は二週間であったのが、最近から短縮となっていた。有給の自宅待機は、うれしいところだが、実際気分が悪いので、楽しくもない。咳と頭痛があり食欲はなく、一日の半分は横になっていた。人事部に、自宅待機の件を問い合わせると、五日目にCPR をするように言われた。陰性なら、自宅待機は解除で、陽性なら十日間まで延長と言われた。その五日目のCPR テストはなんとまた陽性と出た。やはり気分が悪いのだ。自宅で長時間コンピューターの前に座っていると、頭痛がしてくる。そして吐き気も伴う。結局十日間きっちりと自宅待機し、職場復帰した。十日間と言うのはまさにぴったり必要な期間だった。

夫も、私より二日ほど後から、感染症状がでてきた。テストをするとやはり陽性だった。夫は血圧も高く、心臓病もあり、当初から、もしコロナに感染したら、重症化し、死んでしまうと恐れていた。だから、「イベルメクチン」の情報を得たときには、即入手していた。そして夫は予防として試しに使ってみてもいた。なので、今回の感染の際には、「イベルメクチン」を夫も私もとっていた。そのおかげで、特に夫は、重症化を防げたのだと思う。

ところで、「イベルメクチン」とは、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学大村智特別栄誉教授の研究を基に開発された飲み薬で、寄生虫感染症治療薬として、アフリカ諸国を中心に使われている。これがCOVID 19にもよく効き、アフリカ、東南アジア、イスラエル、南米、そして日本(2020年5月18日に許可)

www.yomiuri.co.jp

で使われているのだが、アメリカではDr.ファウチが「イベルメクチン」を使うことを禁じた。「イベルメクチン」で治ってしまったら、ワクチンを広めて、莫大な利益を得ることはできなくなるからだろう。Dr.ファウチの懐にも、その恩恵がはいることは、前回のブログに書いた。

話が前後してしまうが、「イベルメクチン」がCOVID19に効くという情報を得た当初は、まだ、アメリカのアマゾンで、馬の寄生虫駆除薬として販売している「イベルメクチン」を簡単に購入することができた(注:現在また購入が可能になった)。馬用でも人用でも変わりがない、体重による投与量が違うだけだ、という医師の講演も聞いていた。夫も私も、「イベルメクチン」をとり、その効果を実感した。私は、通常、一度風邪をひくと、悪化するところまで悪化してからしか回復に向かわない。だが今回は違った。確かに、咳や頭痛はあったが、ひどい咳ではなかったし、頭痛も気分が悪い程度のものだった。夫への効果は絶大だったと思う。血圧、心臓、肺の慢性病があるにもかかわらず、重症化しなかった。私よりも2週間位長くかかったが、回復した。

自宅待機期間を経て、職場に復帰すると、なんと「ブースター」の強制の通知のメールを見つけた。(続く)

堀尾シェルド裕子

 

44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで ー 余談④COVID19ワクチン死亡者

アメリカで起きていること。 

 

CDC (アメリカ疾病予防管理センター)も政府も主要メディアでも、COVID 19 のワクチンによる死者やワクチン後に起きた永続的損傷を被っている患者数については一切触れず、報道しないこと。それは、アメリカが、イギリス並びにヨーロッパ同様、大手製薬会社のワクチンのロビー活動に支配されているからだ。もしそれらに逆らえば、政治家は献金ももらえず落選するだろうし、メディアは最大のスポンサーである製薬会社を敵に回すような報道をすれば、スポンサーを下りられて、経営の危機に瀕するのだろう。

 

アメリカ国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID) 所長であるアンソニーファウチ医師は大統領へのチーフメディカルアドバイザーでもあり, 彼は連邦政府職員としての最高額の5千万円近くを年収として得ている。そのファウチ医師は、モデルナのワクチン開発に、連邦政府として6億ドル(6百憶円以上)の投資をして、その見返りとして、さらに年間150,000ドル(約1700万円)のロイヤリティを他の4人位の代理人と共に(個人で)受け取っているという。どうりで、米国民に対して、mRNAのワクチン(ファイザーとモデルナ)は勧めるが、ジョンソンエンドジョンソンのワクチンは血栓になる危険性があるとして、勧めてていない。実際問題、血栓の危険性はどのワクチンにもあるのだが。

 

 研究者は、ワクチンの効果や、ワクチンの被害など、真実を究明する研究ができない。それをしようとしても、研究補助金は下りないのだ。 FDAアメリカ食品医薬品局)、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)、NIH(アメリ国立衛生研究所)、WHO(世界保健機関)は今、大手製薬会社とともに動く権力者たちに支配されているのが現状だ。 

 

ところで、実際問題どうなっているのだろうか。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)とFDAアメリカ食品医薬品局)が管理しているワクチンによる有害事象レポートシステム(Vaccine Adverse Event Reporting System またはVAERS)によれば、2020年12月14日から2021年12月10日までの間の、ワクチンによる死者は20,244人(2.1%)、永続的な損傷は33,675人(3.49%)と報告されている。但しこれは氷山の一角とも憶測されている。というのも、このレポートシステムは、義務ではなく、任意なので、多忙な医者は、一件につき30分も費やさなければならないようなレポートは省くというのだ。なので、レポートされない件を含めると、ワクチンによる死者は278,500人から 898,600人の範囲でいるのではないかと推測されている。 

 

11月に、FDA は、ファイザーのCOVID ワクチンの臨床試験の情報を55年間公表しないと打ち出した。???何故?一体何を隠しているのか。その舌のねも乾かぬうちに、今度は、12月に、更に延長して、75年間は公表しないと打ち出してきたのだ。⁉⁉⁉ 開いた口が塞がらないというのはこのことだ。https://childrenshealthdefense.org/defender/fda-75-years-release-pfizer-vaccine-documents/?utm_source=salsa&eType=EmailBlastContent&eId=8bc5b6c6-6d5e-4fad-a3a2-91e12ec8693f

試験中のネコが全匹2年以内に死んだとか、16%のラットが不妊になったとか、否定できるものなら、どうどうと説明して否定し、その安全性を証明して欲しい。隠すぐらいだから、安全性等照明できないのだろうけれども。 

 

上記に示した大半の情報は、環境問題弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア(故ロバート・ケネディの息子の一人)が立ち上げたChildren's Health Defenseという組織のウェブサイトhttps://childrenshealthdefense.org/defender/ から得ている。 

 

最近ロバート・ケネディ・ジュニアは、The Real Anthony Fauci と題する449ページに渡る告発本を出版した。今少しづつ読み進めているところである。

堀尾シェルド裕子

 

44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで ー 余談③半断食でワクチンの解毒

望まないワクチンの強制によるワクチン接種と言う最悪の事態において、一つだけいいことがあった。それは、かねてから興味がありやって見たいと思っていた、間欠的断食または半断食を実行、そして継続できていることである。前回にも書いたように、ワクチンという体内に入った異物を取り除く方法の一つである。

不要な物質の蓄積を防ぎ、細胞内部を浄化する働きであるAutophagy (自食作用)が働くのは16時間の断食と言われているが、私は別の文献で、18時間と言うのも見た。Autophagy は血液をきれいにし、免疫力を上げ(感染予防)、認知症を予防し、寿命が延び、頭がよく働くとも言われている。

今回はワクチンによる体内の異物を除去するために、16時間よりも18時間の断食をしたいと思った。ここ一年近く、朝食を抜いて16-17時間の断食はしていた。私は、仕事の都合で昼食は11時半から12時にとっている(昼食時間は30分と定められている)。12時から1時までは施設内の食事巡回をするためである。また午後にはミーティングがあったりするので、午後は食事時間にはあてられない。となると、16-17時間の断食から18時間の断食に延ばすのは、昼食をも抜くしかない。それで、朝食に続いて、昼食も抜くことにした。夕食は、退職している夫が用意してくれているので、午後5時半位から始まり、6時半位に終わる。なので、22-23時間の断食をしていることになる。昼時の空腹感は、ティーを飲むとおさまり、後は案外忘れていられる。これをワクチン後(11月19日)から続けているのだが、ごく最近、やはり週末だけは、夫との交流のために、ブランチ(朝食兼昼食)を夫と共に取ることにして、ブランチと夕食の二食にした。すると、なんと食べ物がもたれるような感じがするのだ。体が一食に慣れてしまったようなのだ。なので、ブランチも食べ過ぎないように気をつけている。月曜日にはリセットできるのだが。

こんなことが出来るようになったのも、ワクチンのお陰だ。ワクチンよ、ちょっとだけありがとう。この他にも、この間欠的断食で期待していることがある。それはコレステロール値の改善だ。私は、母の体質を譲り受け、50代頃から、コレステロール値が上がり続けている。女性ホルモンの低下と体質で、どんなにダイエットを変えても、コレステロールは下がらない。薬は飲みたくない。断食で悪玉コレステロール(LDL) が下がると聞いた。今はそれも期待している。

堀尾シェルド裕子

 

44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで ー 余談②COVID19ワクチンの強制

先週の金曜の午後、人事課に呼び出され、月曜(11月22日)の4時までにワクチンを接種するか、職の停止のどちらかだと宣告されました。それは、前回書いた、Religious exemption(宗教的免除)を(ワクチンを打たない理由として)認めないのは連邦憲法違反であると訴えたニューヨーク州の医療従事者の訴訟において、つい先日、裁判官が認めないと判断を覆したからなのでした。それを受けて、ニューヨーク州知事はすぐに、ニューヨーク州立の施設に勤める全ての医療従事者への、医療的免除を除いては、ワクチンの強制を再度、打ち出しました。Religious exemption と言っても、道義道徳観、信念等も含まれます。私の二回にわたって提出した申請文に対してのコメントはありませんでした。

私は70歳まであと一年半働く計画を立てているのです。本書でも述べましたように、今辞めれば、州の年金において(連邦政府の年金とは別)、今までかけた8年間以上の掛け金は返金されますが、年金として生涯受け取ることはできなくなります。選択は、一つしかありません  ‐ ワクチンを受け入れること。

アメリカでは現在3種類のワクチンの選択肢があります。mRNA テクノロジーを使ったPfizer社とModerna社のもの、そして従来のウィルスをもとにして作られた Johnson and Johnson 社のものです。バイエル薬品株式会社のマネージャー Stefen Oelrich も世界保健機構(WHO)のサミットで口を滑らせたように、mRNA テクノロジーを使ったワクチンは、遺伝子を操作する遺伝子療法です。しかも長期的な治験はされていません。一方、Johnson and Johnson社のもの も、ワクチン後に血栓ができたという症例が報告され、短期間停止されたものです。でも私は、遺伝子を操作されることだけは願い下げなので、Johnson and Johnsonを選びました。職場では、Johnson and Johnson社のものが切れていたので、近場の薬局へ行くことにしました。

私は常々、もしワクチンが絶対的な強制になって、打たなければならなくなったら、YouTube のDr Ishiguroの、ワクチン後の解毒法を実行しようと思っていました。そしてそれを実行しました。それをここに紹介します。

先ずは、Dr Ishiguroのワクチン後の解毒法の前に、マクロビオティックで習った、里芋湿布です。ただ里芋がないので、ジャガイモに代えて(里芋ほどではないにしても、効果はあるとのこと)。普通、ガンを吸い出したり、乳腺炎を抑えたりするのに使います。私は、家からすり下ろしたジャガイモと、包帯を持参しました。ワクチン接種後に直ぐ、その小さな絆創膏は取り払い、すりおろしたジャガイモをたっぷりと注射部位とその周辺に盛り、包帯を巻いて固定します。そして数時間ごとに新しいものに取り換えます。その日と翌日これを繰り返しました。これのおかげか、腕の痛み等全くありませんでした。

次に、Dr Ishiguroのワクチン後の解毒法です。先生の教える解毒法は主に次の三つです。

  • 免疫力を高めてこくこと。ニンニクやショウガ、十分な睡眠や運動等々。これは普段からやっておくことです。
  • 間欠的断食による自食(Autophagy)を促すこと。最低18時間の断食で自食作用という、細胞内の不要な物質・蛋白質を分解する仕組みが働きだします。スパイク蛋白やその他の毒素を取り除くためです。私の場合は、通常2食を一食の夕飯だけにしました。22時間位の断食です。昼間はお茶を楽しんでいます。案外辛くありません。今も続けています。できる限り続けようと思っています。というのも、職場の担当の看護師が、Johnson and Johnsonを打った人の二人が、7カ月後に脳卒中を起こしたというので。
  • 蛋白質分解酵素をとること。私は、3種類の酵素を取ってます。Serrapeptase, Nattokinase, Bromelain です。ワクチン接種直前からとり始めて、毎日とっています。

これらのお陰か、ほとんど副反応と思われるようなことはありませんでした(翌日のかすかな頭痛と、両ふくらはぎのこむら返りを除いては)。ただし、職場の担当の看護師が言っていたような、7カ月後の脳卒中等は避けたいので、これらを続けようと思っています。

 

堀尾シェルド裕子

 

44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで ー 余談①入居者の激減他

 本書を出版したのは昨年末だったので、今はもう一年近くが経とうとしている。前代未聞のコロナ禍のせいで、状況は目まぐるしく変化している。職場の老人ホームの入居者は、コロナによる多数の死亡と、新入居者の受け入れを一年近く止めたための両方で、約三分の二までに減った。新入居者の受け入れは、今年の八月から再開しているが、看護師の不足で、受け入れも滞っている。そしてワクチン。ニューヨーク州では、医療従事者のワクチンの強制を打ち出した。私は、ワクチンは打ちたくないので、連邦憲法では保障されているReligious exemption の申請をした。だがニューヨーク州はReligious exemptionは受け入れないという緊急の条例をも打ち出した。そしてそれを不服とする医療従事者からの集団訴訟が起きている。そういうわけで、私の申請に対する回答は保留中なので、ワクチンは打っていないが、週二回のPCR検査を要請されている。集団訴訟の判決次第で、もしワクチンが、Religious exemptionを認めない絶対的な強制になれば、私は仕事を辞めるわけにはいかないのでワクチンを打つことになるだろう。ワクチンそのものに関しては、賛否両論、国民をまたは世界を分断するような、大きな主題なので、ここでは言及を避けたい。

 昇給に関しては、この夏やっと交渉がまとまり、2019年までさかのぼって、毎年2%上がることが決まった。ちなみに、ダイエティシャン(サラリーグレード18、ダイエティシャン2)の2021年の年収は、$60,069 - $76,387 となった。

 著書では、要所要所の写真、またモントクレア州立大学の成績表が巻末に掲載されていますので、興味のある方はご覧ください。またダイエティシャン(管理栄養士)に関する質問や迷いなど、その他なんでも、コメント欄またはEメールにお寄せいただければ、出来る限りお答えしたいと思っています。

堀尾シェルド裕子

 

44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで㊸

こんにちは。『44歳からの留学 -67歳現役米国公認管理栄養士、20年の奮闘記』(Book Trip)の著者のYufiこと堀尾シェルド裕子です。私の体験が、これから留学を考 えている人、米国で管理栄養士になることに興味のある人に役立てることを願っています。また物見遊山でこのサイトをみた方、野次馬も歓迎です。コメントもよろしくお願いします。

 

44歳から始まった私の試練の物語いかがだったでしょうか。読んでて疲れたという人もいました。私自身、生き残れたのが不思議なくらい。でも、どっこいちゃんと生きてますよ。前回のブログでもおわかりの通り、今も現役で働いてます!

 

著書より前回の続き

 

振り返って 

 

 1998年(平成10年)から留学が始まって今日まで22年が過ぎた。留学を思いついた1996年(平成8年)からかぞえると24年が経つ。あっという間に過ぎたと言いたいところだが、苦しい時は長かった。それらの体験を面々と、綴ってきたわけなのだが、今、公平で、高潔そしてユーモアがあるディレクターのビンセントの下で働いている。今彼が私の直接の上司であり、彼の織りなした約束事で仕事が進められる。安全で、安心、公平な職場だ。試練続きだった私だが、幸運の女神が最後に微笑みかけてくれたのだろうか。

 留学前、マクロビオティック一辺倒だった私だが、留学後現在に至るまで、栄養学的な新たな発見や理論、また様々な食事法にも触れてきた。今は一歩下がって、それぞれを吟味し、評価できるようになった。それでも、マクロビオティックが私の基礎をなしていることには変わりはない。何かわからないことが出てくると、マクロビオティックではどう教えていただろうと思いをめぐらす。マクロビオティックと米国留学で学んだ現代栄養学は、今の私の貴重な財産である。

 

後書き

 

 私は現在もニューヨーク州ウェストチェスター郡に住んでいる。1年ちょっと前まで、日本の新聞やテレビを見ることが全くと言っていいほどなかった。偶然に日本のデジタル新聞が読めることを知り、購読して読み始めた。そして驚いた。私が留学などしている間に大変なことが起こっていたのだ。就職氷河期とかロストジェネレーションという言葉は初めて知った。私が留学を試みていた頃と重なるのだ。バブルがはじけたことは知っていたが、その影響があまりにも大きく、20年以上経た今、それがより深刻な様相を帯びていることには思いも及ばなかった。そのころ私は日本の会社を辞めていたし、留学から就職までの一つ一つの節目で、まかり間違えば、その先はなく、日本に舞い戻っていた。そして私も(年齢的には当てはまらないが)ロストジェネレーションの一人であったかもしれない。とても人ごととは思えない。ロストジェネレーションへの政治的救済が進むことをを心より願っている。

 ダイエティシャン(RD)になるためのハードルも今はより高くなっている。総合成績GPAのほかに、DPD(Didactic Program in Dietetics、インターンシップに入るための必修科目)のGPA、科学コースのGPA も提示し、DPDのGPA は3.2以上と定められた。(私の時にはDPD のGPAが3.0以上ということだけだった)。インターンシップの授業料も私の時の4,874ドルから今は11,500ドルに上がっている。また2024年からは、インターンシップ・プログラムへの申請の条件に、修士号取得者であることが加わる。

 アメリカのビザ取得がずっと厳しくなっていることも知っている。私の時も大変だったが、その比ではないのないかもしれない。それでも、私にとっては最悪の事態をその都度、あがきながら、這い上がって来た。

  私は今67歳だが、70歳まで働く予定だ。そうすると今の職場で10年勤続になる。待ちきれないが辛抱しよう。日本の定年制度も変わったようで、65や70まで働くことも、珍しい事ではなくなってきているようだ。定年後、単身留学の学生たちに憩いの場所を提供するのが夢だ。その他にも、この体験をいかして、貢献したいことがあり、今その思いを温めている。

 そして今、未曽有のコロナ禍である。留学の様相がどのように変わるのかは、今は分からない。留学先で、授業がオンライン授業に変ったというニュースも入って来た。留学生が大幅に減少する予測もでている。だが考えようによっては、今が留学を夢見ている人々にとってのチャンスがもしれない。

 このアメリカへの留学・就職奮闘記が、留学のことで迷っている人、またアメリカでダイエティシャンになりたい人、熟年からの人生の選択を再考している人等々に、良きにつけ悪しきにつけ、何かのヒントになればと願っている。

(完)

 

 

 

44歳からの留学 ― 米国管理栄養士の、事の始まりから現在まで㊷

こんにちは。『44歳からの留学 -67歳現役米国公認管理栄養士、20年の奮闘記』(Book Trip)の著者のYufiこと堀尾シェルド裕子です。私の体験が、これから留学を考 えている人、米国で管理栄養士になることに興味のある人に役立てることを願っています。また物見遊山でこのサイトをみた方、野次馬も歓迎です。コメントもよろしくお願いします。

 

ビンセントからの連絡で、事態は一変した。試練続きだった私が得た褒賞。

 

著書より前回の続き

 

ニューヨーク州立べテランズ・ホーム(退役軍人老人ホーム)

 

 かくして、2013年(平成25年)4月から、ウェストチェスター郡モントロースにあるニューヨーク州立べテランズ・ホーム(退役軍人老人ホーム)で働き始め、現在に至る。自宅から車で17分で行ける。施設は、6つのユニットで各42床、計252床で、リハビリテーション科もある。

 私の属しているのは勿論、食料栄養課(Food and Nutrition Department)、そしてその中の臨床チーム(Clinical team)である。そのチームは、RD でもあるディレクターのビンセントを筆頭に、私も含めて二人のRDと、二人のダイエテックの計5人からなる。

 毎朝9時から始まるモーニング・リポートにチームを代表して一人が出席し、書きとったものをメンバー用にもコピーする。9時20分頃から我々臨床チームだけのモーニング・リポートがあり、そこで、先の看護師たちのモーニング・リポートに出席したメンバーが、そのコピーを読み上げて報告する。私は実は、その代表の役割にはほとんどならない。あの看護師たちの速い報告を聞いて、合いの手を入れることだけだったら問題はなくなったが、患者の名前や報告された問題点をも書き留めるのは至難の業だ。残念だが、その現実は受け入れて、残りの4人のメンバーに任せようと観念している。ビンセントからの伝達等がなされて、チームのモーニング・リポートは終わり、いよいよ仕事に取り掛かる。

 RD の仕事は、スケジュールに従った入居者の栄養評価、毎月の体重管理と不安定な体重の入居者の管理ノート、褥瘡(床ずれ)巡回、その巡回リストに基づいた栄養的な側面からのリストの作成、定期的な入居者、家族、スタッフのミーティングへの参加、医療チームから依頼された入居者の栄養評価、そして朝食と昼食時の巡回等々だ。

 確かに、ここでの仕事は、病院で遭遇するような様々な疾患に対応する、臨床ダイエティシャンとしての刺激は少ないが、それでも、折々に起こる問題点を看護師や医療チームに照会したり解決したりし、総合的なケアチーム(interdisciplinary team)の一員であることには変わりはない。また、経腸栄養法(静脈栄養法はこの施設では現在受けつけていない)の計算、指示は看護師にも(病院などの極一部の医師を除いて)医師にもできないので、これらはダイエティシャンの独擅場である。

 施設の入居者は、退役軍人かその配偶者のみで、平均年齢が92歳という高齢だ。各42床、6ユニット、計252床で、頭脳明晰な入居者のいる二つのユニット、認知症が進んでしまっている入居者のいる二つのユニット、残りのユニットは入り混じっているユニットだ。二人のRDはそれぞれ3ユニット、126床を担当している。高齢なので、毎週のように誰かが死亡する。

 食事時の巡回で、メニューの不平不満を聞いて、取ったり加えたりの変更も忙しい。もうてっきり、ボケてしまっているのかなと思いつつ、声をかけると、ちゃんと応答したりすることがあり、驚くこともしばしば。ある時、死の床についている入居者に声をかけてみると、彼は薄目を開けて頷いた。私は驚き、直ぐに声を出して彼のために祈った。彼は私にありがとうの目くばせをした。

 

ニューヨーク州立べテランズ・ホームの職場・規則・賃金

 

 この施設は、ニューヨーク州立なので、ダイエティシャンも含めて従業員の全てはニューヨーク州政府の保健省(Department of Health)に属している。つまり公務員(civil service)だ。そして組合があり、皆が公平に守られている安心感がある。むやみに解雇されることはない。但し、原則年に一度、または必要に応じて随時、上司から仕事の各側面の評価があり、場合によっては,カウンセリング、ひいては解雇につながることもある。また、評価に減点があれば、5年目、10年目のボーナスはもらえない。公務員になるためには、それぞれの職種に応じた試験があり、パスしなければならないが、ダイエティシャン、看護師、ソーシャルワーカーなど、資格を持つ職種の場合は、それらの資格が公務員試験の代わりとなっている。 

 またアメリカには、この施設に限らず、1967年に制定された年齢差別を禁ずる法律により、定年制はない。現に今働いている施設に85歳のエミーがいる。とはいえ、アメリカでも80代でフルタイムで働いている人は珍しく、5年前、彼女が80歳になる誕生日には、施設の皆でお祝いをした。彼女は今でも、人事課の事務を担っており、施設内をさっそうと行き来している。連邦政府の年金(Social security)は満額でもらえるのが66歳(1960年生まれ以降は67歳)からだが、一年延ばすごとに70歳まで、8%づつ増額する。

 一口にニューヨーク州政府の公務員の仕事と言っても様々だ。会計士、ドライバー、清掃員、エンジニア、ペンキ塗装者等々。賃金体系は、それぞれの仕事の内容に基づき、教育のレベル、経験に応じてサラリーグレード1から38に定められている。「ダイエティシャン1」はサラリーグレード16、「ダイエティシャン2」はグレード18。但し、「ダイエティシャン1」は資格試験を受ける資格があるけれども、まだ資格は持っていない段階を示すので、「ダイエティシャン1」の募集は見かけたことがない。「サラリーグレード18」の2018年度の年収は56,604 - 71,980ドルとなっている。ちなみに、「ドライバー」はグレード7で30,908 - 39,941ドル、「ダイエテック」はグレード11で38,464 - 49,417ドル、「ソーシャルワーカー1」はグレード18、「ソーシャルワーカー2」はグレード20で62,726 - 79,577ドル, そして、「臨床医師」はグレード36で143,381 - 171,631ドルだ。悲しいかな、組合と州政府の交渉がまとまらず、2018年以降の昇給が未だにない。

 もう一つ特筆したいことは、ニューヨーク州の公務員には、連邦政府の年金の他に、ニューヨーク州の年金制度があり、職員は自動的に加入する。そして最低10年働き、掛け金を収めると、そのニューヨーク州の年金がもらえる。これは思いもかけぬ特典だった。

(続く)